術後合併症はいつ起きる?新人が知っておきたい好発時期と観察ポイント

看護師が術後の患者さんをやさしく見守る
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新人ナースちゃん

術後合併症って何に気をつけて見ればいいんですか…?

看護師ユキ

合併症って起こりやすい時期が決まってるんだよ。
よくある術後合併症の好発時期とポイントを一緒におさらいしよう!

「術後5日目だから、そろそろ肺炎の症状がないか見ておこう」 ——そう思ったその前に、ちょっと待ってください。

術後合併症には、起こりやすい「時期」があります。 
時期がわかれば、観察の精度は一気に上がります。

この記事では、

  • 術後合併症が「いつ」「なぜ」起きやすいのか
  • 時期ごとに見るべき観察ポイント
  • 新人が見落としやすい「術後せん妄」

を、好発時期と根拠(イメージ)を添えてやさしく整理しました。
読み終えるころには、「今日は何日目だから、あれを見ておこう」と自分で考えられるようになりますよ。

目次

術後合併症は「時期」で予測できる

いきなり結論です。

術後合併症は、「いつ起きやすいか」×「どんなサインが出るか」をセットで覚えるのが一番の近道です。

なぜなら、体の中で起きている変化は、時間の経過とともに種類が変わっていくからです。

  • 手術直後は、体が最も不安定な時間(出血・循環)
  • 数日経つと、麻酔や安静の影響が出てくる時間(呼吸・血栓)
  • さらに数日経つと、感染や治りの過程でのトラブルが出てくる時間(創部)

つまり、「今日は術後何日目か」を知るだけで、注意すべきポイントがかなり絞り込めるのです。

代表的な4つの合併症を、時期の早い順に見ていきましょう。

術直後〜7日|時期別に見る4大合併症

①術直後〜24時間|出血・循環の変化に注意

好発時期:手術直後〜24時間以内

📌 観察ポイント

  • 急な血圧低下
  • 脈拍の上昇
  • ドレーン排液量の急増
  • 冷や汗・顔面蒼白・尿量低下

🔧 イメージは“まだ配線が不安定な状態”。
手術直後の体は、止血や体液バランスがまだ十分に落ち着いていません。
わずかな出血でも循環が一気に崩れやすい時間です。
「脈が速い」のは、体が「血が足りない分を、心臓を早く動かして補おう」としているサイン。
数字が動く前の”早い変化”として捉えると、異常に気づきやすくなります。

②術後1〜3日|呼吸器合併症(無気肺・肺炎)に注意

好発時期:術後1〜3日目

📌 観察ポイント

  • SpO₂の低下
  • 浅く速い呼吸
  • 痰が出しにくい/喀痰増加
  • 微熱〜発熱

🫁 イメージは“肺のやる気スイッチが一時的にOFFになる”。
麻酔の影響や創部の痛みで深呼吸がしづらくなると、
肺の奥にある小さな風船(肺胞)がしぼんだ状態になりやすくなります(無気肺)。
そこに痰が溜まると、肺炎に進むことがあります。
※この項目は、特定の学会ガイドラインではなく、周術期の一般的な生理学的知識として紹介しています。

【ここは実体験を追加すると記事の信頼性が高まります】 (例:無気肺のサインに早く気づけた経験、逆に見逃しかけた経験があると、読者に強く響きます)

③術後2〜7日|血栓塞栓症(DVT/PE)に注意

好発時期:術後2〜7日目

📌 観察ポイント

  • 片脚だけの腫脹・熱感・圧痛(深部静脈血栓症=DVT)
  • 突然の息切れ・胸痛・SpO₂の急落(肺血栓塞栓症=PE)

🩸 イメージは“川の下流に水が溜まる”。
術後は安静の時間が長くなり、血液が固まりやすい状態にもなります。
動かない時間が長いと、下流(下肢)に血液が滞り、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
それが肺に飛ぶとPEです。

日本循環器学会のガイドラインでも、早期離床や弾性ストッキング・間欠的空気圧迫法による予防が
重要とされています。ガイドライン導入後、周術期の肺血栓塞栓症は減少傾向にあると報告されています。

🔴 異常:片脚だけの腫脹・突然の呼吸苦・胸痛 → すぐ報告(PEは急変につながる緊急性の高いサインです)

④術後3〜7日|創部感染(SSI)🔴に注意

🔴 このサインが出たらすぐ報告

片脚だけの腫脹・突然の呼吸苦・胸痛
→ 肺血栓塞栓症(PE)の可能性。急変につながる緊急サインです。

好発時期:術後3〜7日目

📌 観察ポイント

  • 創部の発赤・腫脹・疼痛
  • 排膿
  • 発熱
  • 血液検査での白血球・CRP上昇

🦠 イメージは“免疫がいちばん手薄になる時期”。
術後3日前後は、体の免疫の働きが一時的に落ちやすく、細菌が増えやすいタイミングです。
創部はその中でも一番弱っている場所なので、感染が起こりやすくなります。

日本外科感染症学会の「消化器外科SSI予防のための周術期管理ガイドライン」でも、
術後の創部管理は感染予防の重要な柱として位置づけられています。

■ 時期別・観察早見表

🗓️ 覚え方

術直後 → 循環
1〜3日 → 呼吸器
2〜7日 → 血栓
3〜7日 → 創感染

好発時期合併症主な観察ポイント
術直後〜24時間出血・循環変化血圧低下・頻脈・
ドレーン排液増加・冷汗
術後1〜3日無気肺・肺炎SpO₂低下・浅い呼吸・喀痰・微熱
術後2〜7日DVT/PE片脚の腫脹・突然の呼吸苦・胸痛
術後3〜7日創部感染(SSI)発赤・腫脹・排膿・発熱・CRP上昇

覚え方はシンプルです。 
術直後→循環/1〜3日→呼吸器/2〜7日→血栓/3〜7日→創感染🔴
この順番で頭の中にカレンダーを描くと、観察が格段にラクになります。

新人が見落としやすい「術後せん妄」

もう一つ、新人さんが見落としやすいのが術後せん妄です。

新人が覚えておきたい3つ

①術後合併症は「時期」で予測できる
②疼痛コントロールと早期離床が共通の予防策
③せん妄も術後合併症のひとつ。様子の変化はすぐ報告

厚生労働科学研究の調査(80歳以上、461症例)では、術後合併症全体の発症率が約48%、
その中でも術後せん妄が23%と最も多かったと報告されています。
決して珍しいものではありません。

📌 よくある兆候

  • 落ち着きがない・そわそわしている
  • 会話がかみ合わない・混乱している
  • 点滴やドレーンを触ろうとする(自己抜去のリスク)
  • 視線が合いにくい

🧠 「せん妄=脳のSOS」
術後の脳は、痛み・脱水・低酸素・環境の変化など、いくつものストレスにさらされています。
少しの刺激で脳の働きのバランスが崩れやすい状態なのです。

日本麻酔科学会の「高齢者における術後せん妄の予防と治療のプラクティカルガイド」(2024年制定)
でも、環境整備・疼痛コントロール・水分管理・日中の離床が予防の柱として挙げられています。

🔴 異常:普段と様子が違う、落ち着きがない →
「年のせい」で済ませず、低酸素・脱水・痛みなど身体的な原因がないかバイタルとセットで確認しましょう。

合併症を防ぐ2つの鍵|疼痛コントロールと早期離床

ここまでの4つの合併症+せん妄には、実は共通する“予防の鍵”が2つあります。

① 疼痛コントロール

  • 痛い → 深呼吸できない → 無気肺・肺炎
  • 痛い → 動けない → 血栓・腸の動き低下
  • 痛い → 交感神経が刺激される → 血圧・脈拍が乱れる

痛みをそのままにすることは、単に「つらい」だけでなく、全身への負担に直結します。
NRS(痛みのスコア)などで適切に評価し、「動けるレベルの鎮痛」を目指すことが、
そのまま合併症予防になります。

② 早期離床

  • 肺の換気が上がる → 無気肺・肺炎の予防
  • 腸の動きが上がる → 便秘・腸閉塞の予防
  • 血流が上がる → 血栓の予防
  • 筋力が保たれる → 体力低下の予防

早期離床は、いわば“術後ケアの万能薬”。
一つの行動で複数の合併症リスクを同時に下げられます。

もう一歩踏み込む|”トレンドを見る”が術後看護の本質(補足知識)

最後に、少し上級者向けの視点を1つ。

術後の観察は、「今どうか」だけでなく「さっきよりどうか」を見るのがコツです。
一度の数値が正常でも、安心はできません。

  • 尿量:30→20→10mL/h(減っている=危険なサイン)
  • 体温:36.8→37.5→38.2℃(上がっている=感染が進んでいる可能性)
  • 疼痛スコア:3/10→5/10(悪化=縫合不全などのヒントかも)

“点”ではなく“線”で見る——これが、術後看護の本質です。

新人看護師が覚えておきたいポイント

最後に、今日の要点を3つに絞ります。

  1. 術後合併症は「時期」で予測できる。 術直後→循環、1〜3日→呼吸器、2〜7日→血栓、3〜7日→創感染。
  2. 疼痛コントロールと早期離床が、多くの合併症の共通の予防策。 
    痛みを我慢させない、動けるうちに動いてもらう。
  3. せん妄も術後合併症のひとつ。 「様子がおかしい」はバイタルとセットで報告を。

「今日は術後何日目か」を意識するだけで、観察の精度は大きく変わります。

参考文献・引用元(閲覧日:2026年7月28日)

※無気肺・肺炎および術直後の循環変化については、
特定のガイドラインではなく周術期看護における一般的な生理学的知識として記載しています。
※ガイドラインは改訂されることがあります。最新版は各学会の公式サイトでご確認ください。


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本記事は看護知識の理解を深めることを目的として作成しています。

医療現場では、勤務先のルールや患者さんの状態によって対応が異なる場合があります。

※投稿による不利益には責任を負えません。必ず、施設の手順や方法に従ってください。

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この記事を書いた人

先輩に宇宙人と呼ばれた元ポンコツナース(看護師16年目) 
病棟3年目までを生き抜く知識を発信中🌱

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